【LoLメタ昔ばなし】昔のLoLはどうなっていたのか? ~シーズン3編~

 

 皆さんこんにちわ、ねむしです。最近はカスタムが死ぬほど面白くてソロキューが出来ていません。洞窟で7年籠もってソロキューしていた怪物が人のぬくもりを知ってしまった感じです。

 さてこの企画、本当に万人には受けんだろうとは思っていたのですが、前編では予想を大きく超える反響をありがとうございました! マジで資料が少なく、ネットを隅々まで潜って書いた苦労が報われた感じがします。


▼前編はコチラ


 そんなLoLメタ昔ばなしの第二編はシーズン3のおはなし。今なお人気のあるシーズンです。

シーズン3

 らの実装と共に開幕したこのシーズンはLoLというゲームが注目を浴びた時期でした。数字で見るとより規模の大きさが垣間見えます

人口は昨シーズンから1,000万人以上も増え、4,000万人を記録
WCS賞金総額が200万ドルを超える
チャンピオン数は110体を突破

 まさに最盛期というシーズンでこのシーズンから始めたという人も少なくないです。

プレシーズン~シーズン初期

”リーグオブブラッククリーバー”

 現在でも多くのファイターに愛される黒斧ことブラッククリーバー。現在でも存在するアーマーを減少させる効果が特徴的ですが、プレシーズンで追加されたこの『アーマー裁断効果』が問題でした。

ブラッククリーバー

  • レシピ: コールフィールドウォーハンマー+ キンドルジェム+ロングソード+850 = 3100 gold
  • +400 体力
  • +50 攻撃力
  • +30 スキルヘイスト
  • ユニークパッシブ - カーブ:敵チャンピオンに物理DMを与えると、6秒間対象のARを5%低下させる。この効果は6回までスタックする (最大30%低下)
  • ユニークパッシブ - 激情:チャンピオンに物理DMを与えると、2秒間対象に与えている「カーブ」のスタックごとにMSが3増加する(最大18))

第一編を見てくれた方なら大体察しがつくと思いますが、そうです、ユニークパッシブではありませんでした。すいませんまたです。

 ティアマットの時とは違い、スタックが加算されていくというわけではありませんでしたが、スタックの貯まる数はの本数と同じでした。つまり、4本あれば1度のADダメージで対象のアーマーは30%減少したというわけです。

 また、しれっと書いてある『+15 物理防御貫通』も加算されていきます。現在は脅威という少し違う値に変化していますが、についてる魔法防御貫通と同じで書いてある数値分の物理防御を無視してダメージを計算します。

 これらを踏まえると4本積んだ時点で30%アーマー減少をさせた上で60アーマーを無視してダメージを計算することになり、これは計算上200前後のアーマーまでは実質トゥルーダメージ状態です。

Graves Build Guide : You've Made a Graves Mistake [Jungle and ADC] :: League  of Legends Strategy Builds
当時の『どうやってLoLを勝つか』というミーム画像

これだけで済むならまだしも、素材の『ブルタライザー』というアイテムも強力でした。

ブルタライザー

  • レシピ: ロングソード+ ロングソード+ 617 = 1377
  • +25 攻撃力
  • +10% クールダウン短縮
  • +10 物理防御貫通

 の昔の姿です。最初の町で買える棍棒みたいな見た目より全然頼りないですね。でも当時のADメレーは皆がこれを目指していました。なぜでしょうか?

 それはこの+10物理防御貫通という値のためでした。「10ごときの物理防御貫通の何が強いんだよw」ってパッと見るだけでは思うかもしれません。ちょっとLoLを感覚でやりすぎかもしれませんね。反省して下さい。

 シンプルに言いましょう。脅威で考えた場合のこの数値は30前後の数値です。30脅威ですよ? 13.10の全盛期最強のパッシブが常時発動しているような数値です。なのに1400ゴールド払ってお釣りが来る額で手に入ります。

 そんなこんなでこの棍棒からスノーボールを狙うというメタからシーズン3は開幕しました。

ステルスチャンピオンの死

 一方であるアイテムがステルスチャンピオンを強く抑制していました。それがコチラ。

 オラクルエリクサー

  • 400 gold
  • 消費アイテム
  • 5分間、もしくは死亡するまで周囲750ユニットのあらゆる不可視なユニット・オブジェクトを可視化する。

 シーズン7のアップデートまで、このゲームのカモフラージュ・インビシブルはステルスという一纏めの状態であり、基本的にはインビジブル側に近い仕様でした。つまりどれほど近づいてもバレることはありません。うわぁ強そうですね。実際強かったでしょう…………

敵supがこのアイテムを買わなければ。

 このエリクサーは飲んだその瞬間から750ユニットというイカれた範囲を可視化し続けます。これはのultよりさらに1ティーモ以上もの広さを誇ります。supがこれを飲むだけで基本的にステルスを主軸としたあらゆるプレイを無力化していた為、などのステルスに強く依存していたチャンピオンは息ができませんでした。

このアイテムを飲んだアニーに成す術がないシャコ・トゥイッチ。

 また、チャンピオンだけには飽き足らず、このアイテムはオブジェクトまで可視化していました。ボックスやキノコはもちろん、ワードもです。

 この頃のコントロールワードはビジョンワードという名前であり、こちらもシーズン中期に入るまでと同様に不可視状態になっていました。が、こちらも看破しました。

ピンクワード?

 のことをたまに「ピンク」と言うおじいちゃんを見かけたことはありませんか? 『どう見ても赤いだろうがジジイ』と言いたくなる気持ちもわかりますが、あれは前身のビジョンワードがピンク色だったことの名残なのです。

▲見た目がピンク色だったため『ピンクワード』と呼ばれた

 ちなみに不可視のと聞くとステルスチャンピオンが何をして暮らしていたのか戸惑うかもしれませんが、基本的に一定以上のレートでは力を発揮できていませんでした。この頃のはWでモクモクしてもこのピンク色のワードをぶっ刺されるだけで普通にAAでしばき回されますからね。

伝説的なシャコプレイヤーの『Pink Ward』。彼はどんな思いでこの名前をつけたのか…

シーズン中期

ヤク漬けオールインでスノーボール

 さすがにのナーフが行われ、他にも色々な外れ値の修正が行われました。ようやくサモリフに平和が

訪れませんでした。

 25個ものアイテムが追加され、23個のアイテムがリワークされるという特大変更を行った影響はまだまだ残り、半ば混沌としたままシーズン中期まで時は進みます。

 シーズン2末期に流行した『10秒ごとに5ゴールドを得る』といったパッシブを持つ金策アイテムを軒並み削除した補完として、ミニオンからの獲得ゴールドやキルを重ねていったときのゴールドが増加した影響で、序盤から有利を取りゲームを畳もうとする機運が高まりました。

 そして、雪だるま式に有利を広げていく『スノーボールメタ』が始まりました。その背景からメタになったアイテムはコチラ。

不撓不屈のエリクサー

  • 250 gold
  • 消費アイテム
  • 効果時間:4分
  • 効果:15の攻撃力と120 〜 235 (レベルに基づく) の 増加体力を180 秒間付与し、獲得した体力と同じ量の体力を即座に得る。

 ””奥さん!なんと今なら250ゴールドポッキリで現在の以上のステータスが得られますよ!””

……となれば買わない手はありません。見て分かるとおり気が狂った金銭効率をしていたこのアイテムを持ったは文字通り手の付けようがなく、「好きなチャンピオンであーそぼ♪」なんてオフメタなピックをすれば生まれたきたことを後悔させられました

 当時のレーンサステインは体力ポーションの数に強く依存しており、は400ゴールドのため2個、に至っては475ゴールドなので持つことが出来ず、最大で7個(は35G)ものポーションを持ってくるこの対面にはポーション差が生まれてしまいトレードが非常に難しい状態でした。

APチャンピオンであるランブルですら買う始末。

 これだけでも充分強いのにこのアイテムは飲んだその瞬間に体力を得る効果すらあります。戦闘中に使用すればのように活用できたので、Lv.6オールインの際に突然200ヘルス回復するとかいう訳の分からないことができました。

 もちろんとは別枠で回復をしているので、当時ののオールインは

「狂ったようにこれらの赤い薬液を飲み、擬似的なヘルスを得ながらオールインする」

というヤク漬けガンギマリオールインをかましていました。

個人志向の強まり

 この傾向はプロシーンにまで波及し、今では信じられないことですがアサシンmidが相対する試合が多く見られました。

あのFakerもデビュー戦ではアサシン+ポークメイジだったニダリーを使用した。相対するはカ=ジックス……繰り返すがこれは『mid』のマッチアップ。

 各所で頻発する1v1、アウトプレイやソロキルの連続……と観ていて最高のシーズンだったと語る人も少なくありません。毎試合ソロキルをするFakerの鮮烈デビューっぷりは、当時のこのメタも後押ししていたと言えます。このシーズンで結果を残すほどのメカニクスが今の彼を下支えしているのでしょうね。

レーンスワップ戦術

 メタが進んでくるとプロシーンではレーンスワップという戦術が発明され、半ば一般的になります。レーンを勝ってローテーションするアレではなく、最初のウェーブからレーン戦をする場所そのものを入れ替える戦術です。しかもそれはtop midでやるならまだしも、当時はtop botのサイドレーンがスワップしていました。この戦術を行う理由は2つ

①adcのファームを確保する

 ピックバンや選手格差によってadcのファームが確保できない状態になった時、adcのファームを確保するためにtopに逃がすことが出来ます。当然supも共に行くため、2v1の状態となり、ファームを確約することが出来ます。

 なので基本的には『レイトスケールするペアがレーニング強者から逃げ出す』という構図が一般的です。

ミニマップに注目。赤側のbotにはtopレーナーであるゼドが、topにはヴァルス・ルルがレーニングを行っている。

のペアは当時のポークレーンでは最強の1角でした。当時の強化Qは2倍のダメージを与える上、オールインでは両名のultで簡単にキルされてしまうため、はtopに逃げ出すというわけです。

ドラゴンのコントロールを失う前にbotに戻ってくる必要があるものの、jgとの3マンダイブやsupをmidにロームさせたりとレーンで不利なマッチアップを耐えるだけでは出来ない選択を取ることが出来ます。

②topレーナーを腐らせる

 現在のLoLで照らし合わせてもわかりますが、ただでさえレンジド相手な上に、2人も対面がいるのですからCSをギブしていくしかありません。

 必然的に強力なキャリーピックや、そういった気質のプレイヤーはレーンスワップメタでは真価を発揮しづらいと言えます。現在で言えばJDG 369やT1 Zeusらをbotレーナーと相対させ、レーニングでのCSを落とさせると言えば価値が伝わりやすいでしょうか。

 この影響から前シーズンで人気だったらは必要なファームが確保できず力を発揮できないとして人気を失いました。当時のtopレーナーは少ないリソース下で影響力を出す能力を求められました。


MF・ソナ相手に不撓不屈のエリクサーと6ポーションで耐え忍ぶ予定のゼド

シーズン終盤~Worlds

チャンピオンの変遷

 中期まではといったアサシンとそれらを相手にできるなどがメタでしたが、終盤に差し掛かるにつれダメージのナーフなどにより、アサシンたちは身を潜めていきました。

 しかしだけはシーズンを通して常に人気があり、Worldsの段階ではLoL界初となるB/P100%を達成しました。リリースした年が強力な通例はこの頃から存在していたのです。

 彼の持つ『R - 死の刻印』は対象に向かってブリンクし、ブリンク前の地点に影を残します。そして0.5秒後に再発動できるようになり、影と自分の地点を入れ替えられるスキルですが、対象の背後に必ず出現していまうという弱点があります。

 ですがこの時の火影クラスのチャクラを持っていたため、すぐに再発動することが出来ました。やろうと思えば離れた位置からADCを始末することが出来たわけです。

 これほど安全にオールインが出来たのに、今の紙きれのような彼から想像もつかないほど耐久値も高かったため、のアクティブで割合ダメージを与え、AS増加効果があったでひたすらぶん殴るということも出来ました。まさに『現在の型と型の両方の性質を併せ持つ♥状態』でした。

あまりに有名なFaker vs Ryuのゼドミラー戦。敵から生気を吸い取るようなエフェクトが当時の王剣アクティブであり、ゼドのultをサッシュで解除してFakerはアウトプレイに成功した。なお、両チーム共シェンのultがあるのは触れないのがお約束。

 兎にも角にもmidが強力だったため、時間の経過とともに『いかにしてmidのエースを下支えしていくか』という構成になりつつありました。今のmidレーナーからしたら夢のようなメタです。具体的にはがtopでを積み、jgがワードを買うといった形。

ワードを""買う""?

この頃のLoLは現在ののようにショップからワードを買うことが出来ました。3.14で黄色トリンケットが実装され自動的にワードを補充されるようにはなりましたが、それでもなおプロシーンではワードをしこたま買いました。視界は正義ですからね。

 サイトワード

  • 75 gold
  • 消費アイテム
  • 効果時間:3分
  • 効果:視界を持つオブジェクトを指定地点に設置する。
    オブジェクトはステルス状態で180秒間持続する。
    同時に設置できるオブジェクトの数は最大3個までで、4個目を設置すると一番古いオブジェクトが消滅する。

この仕様により、今より格段にサモナーズリフトが明るかったのは想像に難くないでしょう。金さえあれば誰でも視界を得られた時代でした。


 midのピックはWorldsの時期にはさらに広がりを見せ、などのユーティリティに寄せたピックも登場しました。この頃のmidレーナーは一定のチャンピオンプールだけではなく、B/Pで有利に立つための幅広いチャンピオンが使える必要があり、逆にプールの狭いままだったプレイヤーは戦績が伸び悩みました。

 topは先程の3体とスワップされても安心なに加え、が安定して強力でした。また君かファイターが息を潜め、タンクアイテムが流行したWorldsではそれはそれでタンク力もありスプリットもできるとあってB/P登場率は96.8%を記録。旧友のとともにワンツーランクインし、ニンジャの強さをこれでもかと世界に知らしめました。

 前述の通り視界がたくさん取れた上、ダメージも数段強力だったためポークチャンピオンたちも活躍しました。主にはtop、はbot、はmidでそれぞれピックされ、彼らを主軸としたポーク構成が一般的にプレイされていました。

Fakerのニダリー、Impactのジェイスを主軸としたポーク構成。現在より速く・太く・痛いポークにより、容易にタワーを奪取している

 

あとがき

 くぅ~疲れましたwこれにて執筆完了です!

いや本当に疲れました。

 色々なことが起こり過ぎですこのシーズン。前編と違い、なまじ資料もたくさんあるもんだから掘れば掘るほどネタがでてきて、しまいにはシーズン4を書くスペースが無くなりました。

 最後に当時のアイテムショップを再現したサイトをご紹介します。ブラウザ翻訳も効くため、当時のアイテムの様子を日本語で楽しむことが出来ますよ! おじいちゃんもノスタルジーに浸って下さい。

 次の更新は未定ですが、6月中にはお届けしたいなと考えています。最後まで読んでいただきありがとうございました!


▼前編はコチラ

 

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